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羽アリはいつ出る? 6月・9月・10月に多い理由と結婚飛行

ある日の夕方、玄関や窓の明かりに、小さな羽アリがいっせいに集まってくる。きのうまで一匹も見なかったのに、まるで示し合わせたように、同じ日にいっぺんに現れる――そんな場面に出会ったことはありませんか。

この羽アリは、新しい巣をつくるために巣を飛び立つ、新女王とオスの姿です。そして羽アリには、種類ごとに決まった季節があります。さらに同じ種は、同じ日にそろって飛び立ちます。

この記事では、羽アリがいつ出るのか、なぜ年に何度か波があるのか、そしてなぜ「いっせいに」飛ぶのかを見ていきます。

目次

羽アリが飛ぶ結婚飛行は、どんな日?

巣から羽アリがいっせいに飛び立つことを、群飛(ぐんび)と呼びます。羽アリが結婚相手をさがして飛ぶので、結婚飛行(けっこんひこう)ともいいます。

結婚飛行が起きる日

結婚飛行が起きる日は、カレンダーでは決まっていません。決め手になるのは、その日の気温・湿度・天気です。多いのは、蒸し暑い日、とくに雨上がりで、風の弱い日。逆に、気温が高くても風が強い日には、あまり飛びません。

なぜ、雨上がりの蒸し暑い日なのか

雨のあとは地面がやわらかく湿っています。飛び立った新女王が地面におりて巣を掘りはじめるとき、かたく乾いた土より、しめった土のほうが掘りやすく、体も乾いて死ににくい。羽アリにとって、雨上がりの蒸し暑さは「いま飛べば、新しい巣をつくりやすい」という条件がそろった合図なのです。

季節によって、ちがう種が飛ぶ

羽アリが飛ぶ時期は、種類によって大きくちがいます。日本では、春から晩秋――およそ3月から11月のあいだに、種ごとに決まった時期があります。だから「羽アリの季節」は一つではなく、年に何度か波がやってきます。

初夏のころ(6月ごろ)

梅雨の蒸し暑さとともに、多くの種が飛びはじめます。夜、明かりに集まってくる羽アリも、この時期に多く見られます。一年でいちばん羽アリに気づきやすいのが、この初夏のころです。

秋のころ(9月・10月)

夏のおわりから秋にかけても、また別の種が飛びます。9月ごろに小さな羽アリを飛ばす種や、10月の午前に高いところへ集まる種など、初夏とはちがう顔ぶれです。同じ「羽アリ」でも、季節が変われば飛んでいる種類が入れかわっているのです。

なぜ、いっせいに飛ぶの?

一匹ずつばらばらに飛ぶのではなく、同じ種が同じ日に、まとめて飛び立つ。これには、二つの大切な意味があります。

一つめの理由:出会い

新女王とオスは、それぞれ別の巣で育ちます。よその巣の相手とめぐり会うには、あたりの巣がみな同じ日に飛び立つ必要があります。みんながそろって飛ぶから、空のどこかで相手と出会えるのです。

二つめの理由:数の安全

飛んでいる羽アリは、鳥やトカゲ、クモにとってはごちそう。もし少しずつばらばらに飛んでいたら、つぎつぎに食べられてしまいます。

でも何万匹がいっせいに飛び立てば、天敵が食べられる数にはかぎりがあるので、食べきれなかったぶんが必ず生きのこります。いっせいに飛ぶことが、種全体を守るのです。

そろえているのは、天気という合図

飛ぶ日をそろえている合図が、あの気温・湿度・雨上がりです。近くの巣はみな、同じ天気のなかにいます。だれかが号令をかけなくても、同じ手がかりに反応するから、結果として時がそろうのです。

ばらばらなのに時がそろう「同調」

ここからは、中学生や大人にも向けた、もう一段深い話です。

ばらばらの個体が、同じ合図に反応して、同じタイミングでそろうこと。これを同調(どうちょう)と呼びます。羽アリの結婚飛行は、この同調の一例です。

ここで大事なのは、羽アリが日付を数えて「今日が結婚飛行の日だ」と知っているわけではない、ということです。羽アリは、あたたかさの積み重なりや、雨というスイッチに反応しているだけ。それでも結果として日がそろうのは、近くの巣がみな、同じ気温と同じ雨のなかに置かれているからです。

中心にいる司令塔が日を決めて全員に伝えているのではありません。それぞれが同じ環境を読んで動いた結果として、いっせいの結婚飛行になる。「合図でそろう」と「命令でそろう」は、似ているようでちがうのです。

時がそろうのは、同じ環境にいるから?

時計ではなく合図で時をそろえる同調は、アリだけのものではありません。生きものの世界の、あちこちで見られます。

セミの夏

セミは、何年も土の中ですごし、ある夏にいっせいに地上へ出てきます。合図になるのは、土の中の温度。同じ夏の同じ暑さを感じた幼虫たちが、そろって出てくるのです。いっせいに出れば、天敵に食べきられないのも、羽アリと同じです。

サクラの春

春、サクラの花がいっせいに咲くのも、同調です。サクラは、冬の寒さと春の暖かさの積み重なりという合図を受けて開きます。同じ地域の木は、同じ気温のなかにいるから、申し合わせたわけでもないのに、いっせいに満開になるのです。

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この記事を書いた人

小学校高学年の子どもたちにも読めるように、身近な科学のふしぎをやさしく整理しています。

記事では、ただ驚くだけで終わらず、「なぜそうなるのか」という仕組みまで伝えることを大切にしています。家庭や学校でも安心して読める科学サイトを目指しています。

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