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⽻アリとはどんなアリ? クロアリ‧シロアリの⾒分け⽅

よく晴れて、むしむしする⽇のこと。地⾯のすき間や⽊のねもとから、はねの⽣えたアリが現れ、いっせいに空へ舞い上がる――そんな場⾯に出会ったことはありませんか。

アリに、⽻なんてあったかな。それとも別の⾍? もしかして、シロアリ……?

この⽻の⽣えたアリも、まぎれもなくアリの仲間です。新しい巣をつくるために巣を出ていく、新しい⼥王になるメスと、オスの姿です。

この記事では、⽻アリとは何者なのか、クロアリの⽻アリとシロアリの⽻アリはどこを⾒れば分かるのかを⾒ていきます。

目次

⽻の⽣えたアリは、別の⾍なの?

ふだん地⾯で⾒かける働きアリは、その多くが⽻を持たないメスです。エサを運び、巣の世話をして⼀⽇を過ごす、あの⼩さなアリたちです。

⽻アリは、ちがう役割のアリ

巣の中では、季節になると、ちがう役割のアリが育ちます。⽻の⽣えたアリ――⽻アリ(はあり)です。⽻アリは⼆種類。新しい⼥王になるメスと、オスです。

どちらも巣をはなれ、よその巣の相⼿と出会って、新しい巣を⽴ち上げるために育てられます。

⽻アリは、よそから迷いこんだ⾍ではありません。いつもの働きアリと同じ巣で⽣まれた、れっきとしたアリです。役割がちがうから、⽻のある姿で出てくるのです。

それで、どこへ⾶んでいくの?

⾶び⽴った⽻アリは、空のどこかでよその巣の相⼿と出会い、交尾(こうび)します。メスはやがて地⾯におりて⽻を落とし、たった⼀匹で新しい巣をつくりはじめます。

この⼀⽇が、次の巣のはじまりです。

なぜ空を⾶ぶのか、いつ⾶ぶのか。そこにもおもしろい話がありますが、それはまた別の記事で紹介します。

シロアリの⽻アリとは、どう⾒分ける?

ややこしいことに、シロアリのなかまにも、よく似た⽻アリが出てきます。⾒た⽬はそっくり。けれどアリとシロアリは、まったくべつのグループの⽣きものです。

⾒分けるときは、⽻の印象だけで決めず、体のつくりを三か所⾒ます。

触⾓

ひとつめは、触⾓(しょっかく)です。アリの触⾓は「く」の字に折れ曲がり、シロアリの触⾓は数珠(じゅず)のようにまっすぐのびています。

ふたつめは、腰(こし)です。アリは胸とおなかのあいだがきゅっとくびれ、シロアリはくびれのないずん胴(どう)です。

みっつめは、⽻です。アリは前の⽻が⼤きく、後ろの⽻が⼩さいため、前後のバランスが整っていません。シロアリは四枚ともほぼ同じ⼤きさ‧同じ形です。

もう少しくわしく:グループが違っても、姿が似る「収れん」

ここからは、少し中学⽣や⼤⼈にも向けた、もう⼀段深い話です。

シロアリの⽻アリは、アリの⽻アリとそっくりでした。けれど、⼆つはまったくべつのグループの⽣きものです。⽣きものの分類でいうと、アリはハチに近い仲間、シロアリはゴキブリに近い仲間。家系図でいえば、ずいぶんはなれた枝にいます。

それなのに、姿がここまで似ているのはなぜでしょう。どちらも「⽻で⾶んで、新しい場所に巣をつくる」という、よく似た暮らし⽅をしているからです。

遠いグループの⽣きものどうしでも、同じような暮らしに合わせて、それぞれ別々に似た姿を⾝につけることがあります。

これを収れん(しゅうれん)と呼びます。

姿が似ているからといって、近い仲間とはかぎりません。アリとシロアリの⽻アリは、その良い例です。

横断リンク:すがたが似ているのは、なかまだから?

「似ているのに、じつはべつのグループ」。これは、アリとシロアリだけの話ではありません。同じ問いで、ほかの⽣きものともつながります。

イルカとサメ

イルカとサメは、どちらも海を速く泳ぎ、背びれや流線形(りゅうせんけい)の体つきがそっくりです。けれどイルカはクジラのなかまの哺乳類(ほにゅうるい)、サメは⿂です。

速く泳ぐという同じ⽬的のために、別々に似た形になりました。

⿃とコウモリ

空を⾶ぶ翼も同じです。⿃の翼は⽻⽑(うもう)でできていますが、コウモリの翼は、指のあいだにはった⽪(かわ)の膜(まく)です。

近い仲間ではないのに、⾶ぶためのしくみを、それぞれ別のやり⽅で⾝につけました。


アリとシロアリの⽻アリも、これと同じです。よく似た暮らしが、よく似た姿を⽣む。⾒た⽬だけでは決められないところに、⽣きものを⾒分けるおもしろさがあります。

ことばの説明

  • ⽻アリ(はあり)……巣をはなれて繁殖するために育つ、⽻を持つアリ。新しい⼥王(メス)とオスがいます。
  • シロアリ……名前はアリに似ていますが、アリとはまったくべつのグループ(ゴキブリに近い仲間)。⽊材を⾷べて巣をつくり、家の⽊をいためることがあります。
  • 新⼥王(しんじょおう)……⾶び⽴ったあと⽻を落とし、新しい巣を⼀匹で⽴ち上げるメス。
  • 交尾(こうび)……オスとメスが、⼦孫を残すために結びつくこと。
  • 触⾓(しょっかく)……頭から出て、においやまわりのようすを感じる器官。アリは「く」の字、シロアリはまっすぐ。
  • 収れん(しゅうれん)……遠いグループの⽣きものが、よく似た暮らしに合わせて、それぞれ別々に似た姿やしくみを⾝につけること。イルカとサメ、⿃とコウモリが有名な例です。

まとめ

⽻アリは別の⾍ではなく、新しい巣をつくるために巣⽴つ、新⼥王とオスの姿だったのです。シロアリのそっくりさんとは、触⾓‧腰‧⽻の三点で⾒分けられます。

そして、⾶び⽴った新⼥王は、⽻を落とし、たった⼀匹で新しい巣をつくりはじめます。

アリはハチに、シロアリはゴキブリに近い、遠い仲間どうしです。姿が似ているのは、よく似た暮らしが⽣んだ収れんで、近い仲間だからではありません。

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この記事を書いた人

小学校高学年の子どもたちにも読めるように、身近な科学のふしぎをやさしく整理しています。

記事では、ただ驚くだけで終わらず、「なぜそうなるのか」という仕組みまで伝えることを大切にしています。家庭や学校でも安心して読める科学サイトを目指しています。

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