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アリの巣の中はどうなっている?部屋の役割と地下構造

公園や庭の地面に、小さな穴。そこへ吸いこまれるように、アリが次々ともぐっていきます。あの穴の下は、どうなっているのでしょう。ただの縦穴(たてあな)が、まっすぐ下にのびているだけ――そう思うかもしれません。

じつは、地面の下には、たくさんの部屋と通路が広がっています。しかもその部屋には、卵を育てる場所、食べ物をしまう場所、女王のいる場所と、ちゃんと役割があります。

アリの巣は、ただの穴ではなく、暮らしのための「建物」なのです。

この記事では、アリの巣の中がどんな作りになっているのか、そして、目に見えない地下のようすを、人はどうやって知ったのかを見ていきます。

目次

地面の下は、部屋と通路でできている

アリの巣は、働きアリが土のつぶを口で少しずつ運び出し、掘り進めてできあがります。地表に見えているのは、小さな出入り口だけ。けれど下へたどると、たてにのびる通路と、そこにつながる横向きの部屋が、いくつも組み合わさっています。

日本で身近なクロオオアリの巣を例にしてみましょう。通路はジグザグに掘り進められ、その通り道に、部屋が一つ、二つと付いていきます。大きく育った巣では、深さは1〜2メートルにもなり、千匹ほどの働きアリが暮らします。

あの小さな出入り口の下に、それだけの世界が隠れているのです。

部屋には、それぞれ役割がある

巣の中の部屋は、どれも同じではありません。用途ごとに、使い分けられています。

育てるための部屋

卵、幼虫(ようちゅう)、さなぎは、それぞれ世話のしやすい部屋に集められます。働きアリは、この育児(いくじ)の部屋につきっきりで、なめてきれいにしたり、運んで移したりと、こまやかに世話をします。

食べ物と、女王のための部屋

運びこんだ獲物やエサをしまっておく食料の部屋、そして卵を産む女王アリのための部屋もあります。女王の部屋は、外敵や気温の変化から守りやすい、巣の奥深くに置かれることが多いようです。

そうじのための場所

巣の中に、食べかすや死んだ仲間を運び出すための、ゴミ捨て場のような場所を作る種類もいます。巣の中を清潔(せいけつ)に保つことは、病気を防ぐことにつながります。(仲間の死とアリの行動については、別の記事でくわしく紹介します。)

こうして見ると、巣の部屋は、目的に合わせてきちんと分かれています。アリの巣は単なる穴ではなく、育児・食料・移動のための空間だったのです。


では、その巣はどれだけ深く掘られ、なぜそんなに深くするのでしょう。深さには、深さの理由があります。それは「アリの巣はどれだけ深い?」の記事でくわしく紹介します。

見えない巣を「型取り」で写し取る

ここからは、少し中学生や大人にも向けた、もう一段深い話です。

考えてみると、ふしぎです。地下ふかくにある巣を、こわさずに、どうやって調べるのでしょう。ただ掘っていけば、通路も部屋も、ぼろぼろにつぶれてしまいます。

そこで研究者が考え出したのが、型取り(かたどり)という方法です。巣の出入り口から、石膏(せっこう。かたまる白い粉を水でといたもの)や、とかした金属を流しこみます。

すきまのすべてに液が満ちて、かたまると、通路と部屋の形が、そっくりそのまま写し取られます。あとはまわりの土をていねいに掘り出すと、地下にあった巣の形が、立体の彫刻(ちょうこく)のようにあらわれます。

この方法ではじめて巣を写し取った研究者は、その複雑さにおどろいたと言います。目に見えない、立体のものを調べることが、どれほどむずかしいか。型取りは、その「見えないかべ」をこえるための工夫だったのです。

おもしろいことに、近い仲間のアリは似た形の巣を作り、遠い仲間はちがう形の巣を作ることも、こうして少しずつ分かってきました。

見えない構造をどう知る?

「見えないものを、どうにかして見えるようにする」。これは、アリの巣だけの話ではありません。同じ問いで、ほかの生きものともつながります。

シロアリの塚(つか)の中

シロアリの中には、地上に高い塚を積み上げる仲間がいます(シロアリはアリとはべつのグループですが、これも見事な「巣」です)。その塚の中には、空気を通す細い管(くだ)が、枝分かれしながらはりめぐらされています。

研究者は、塚をこわさずに中を知るために、病院でも使うCTスキャン(エックス線で輪切りの写真をとる装置)を使いました。すると、外からは見えなかった通気(つうき。空気の通り道)のしくみが、くっきりと浮かび上がったのです。

わたしたちの体の中

もっと身近な例が、自分の体です。おなかや手の中の骨を、切りひらかなくても知る方法があります。レントゲンやCTです。体を通りぬけるエックス線を使えば、皮ふの下の骨の形が、写真になってあらわれます。

型取りは「すきまをうめて写し取る」方法、レントゲンやCTは「すかして見る」方法。やり方はちがっても、どちらも「見えない構造を、見える形にする」という同じ工夫です。


見えないからとあきらめるのではなく、見る方法を考える。そこに、科学のおもしろさがあります。

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この記事を書いた人

小学校高学年の子どもたちにも読めるように、身近な科学のふしぎをやさしく整理しています。

記事では、ただ驚くだけで終わらず、「なぜそうなるのか」という仕組みまで伝えることを大切にしています。家庭や学校でも安心して読める科学サイトを目指しています。

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