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アリの巣はどれだけ深い? 深く掘るほど暮らしやすい理由

庭や公園の地面にあいた、アリの小さな出入り口。あの穴は、どこまで続いているのでしょう。ほんの数センチ……と思うかもしれませんが、種類によっては、人の背たけよりずっと深く、地面の下、数メートルまでのびていることがあります。

体の長さが数ミリしかないアリが、その何百倍もの深さまで掘るのです。この記事では、アリの巣がどれだけ深いのか、そして、なぜそんなに深く掘るのかを見ていきます。

目次

アリの巣は、どこまで深い?

日本で身近なクロオオアリの巣は、大きく育つと、深さ1〜2メートルほどになります。人の背たけくらい、あるいはそれより深いこともある、ということです。

深さは、種類によって大きく変わります。地面のすぐ下、数センチですむ小さなアリもいれば、かわいた土地でくらす「種(たね)を集めるアリ(ハーベスターアント)」のように、3メートルほど掘る種類もいます。記録では、4メートルをこえる巣も見つかっています。ビルでいえば、1階から2階分もの深さ。

それを、あの小さなアリたちが、土を一粒(ひとつぶ)ずつ運び出して掘り上げるのです。

なぜ、そんなに深く掘るの?

いちばんの理由は、地下のほうが、ずっと暮らしやすいからです。

地面の上は、昼と夜、夏と冬で、暑さ寒さが大きく変わります。でも、地面の下はちがいます。深くなるほど、その暑い・寒いの変化がやわらいでいくのです。1日のうちの暑さ寒さは、地下50センチほどでほとんど感じられなくなります。

季節の変化も、数メートル〜十数メートルの深さになると、ほとんどなくなります。だから地下は、夏はひんやりすずしく、冬はほんのりあたたかい。人が昔から、地面の下で食べ物や氷を保存してきたのも、この安定した温度を利用してのことでした。

アリは、この性質をうまく使っています。卵や幼虫(ようちゅう)にとってちょうどよい温度・湿りけ(湿度)の場所へ、子どもたちを上へ下へと運んで移すのです。暑い日は深い部屋へ、寒い季節も深い部屋へ。

中には、夏の暑さを深くもぐってやり過ごし、地下のあたたかさを使って冬に活動するアリもいます。深い巣は、いわば「えらべる環境の引き出し」。深さがあるからこそ、いつでもちょうどよい部屋を選べるのです。

「地下50センチで消える」のは”1日”の暑さ寒さ。変化がはやいほど浅く消え、ゆっくりした夏冬の差は地下10メートルあたりまで残ります。深い巣は、その季節の変化までやわらげているのです。

(参考:ブリタニカ国際大百科事典、日本地下水学会)

巣の形には、ちゃんとわけがある

ここからは、少し中学生や大人にも向けた、もう一段深い話です。

アリの巣が深いのは、ただ長く掘っただけではありません。暑さ寒さや乾きから卵や幼虫を守るための、理(り)にかなった深さです。地面にたまたま空いた穴ではなく、目的にきちんと合った、よくできたすみか。

深さのひとつにも、「こう作れば暮らしやすい」という、ちゃんとしたわけがあるのです。

おもしろいのは、こうした「形にわけのあるすみか」を作るのに、アリには設計図(せっけいず)も、指図する親方(おやかた)もいないということ。それでも、理にかなった巣ができあがります。

なぜ命令なしにそんなことができるのかは、それだけで大きな話になるので、「アリの社会にリーダーはいない?」の記事にゆずります。ここでは、「巣の形には、ちゃんと理由がある」というところまでを見ておきましょう。

すみかの形は、なぜ理にかなっている?

「形のひとつひとつに、暮らしを助けるわけがある」。これは、アリの巣だけの話ではありません。ほかの生きもののすみかも、同じ問いでつながります。

ミツバチの六角形

ミツバチの巣は、小さな六角形(ろっかくけい)の部屋がびっしり並んでできています。六角形は、すきまなくきれいに並べられる形。少ないろう(巣の材料)で、じょうぶに、たくさんの部屋を作ることができます。

まるく作ればすきまが空き、四角ではもろくなる。六角形は、むだのない、理にかなった形なのです。

ビーバーの巣

川やダムのそばに、ビーバーは木と泥(どろ)でドーム型のすみか(ロッジ)を作ります。入り口は、水の中。陸の敵は、水にもぐらないと入れません。中の部屋は水面より上にあり、乾いていてあたたかい。

てっぺんには、空気を入れかえる小さなあなまであります。入り口の位置も、部屋の高さも、そのすべてに、身を守り、快適に暮らすためのわけがあるのです。


アリの深い巣も、ミツバチの六角形も、ビーバーのドームも同じです。すみかの形は、たまたまではなく、暮らしにかなった「理由のある形」。生きものの家をよく見ると、その形の意味が読み取れるところに、おもしろさがあります。

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この記事を書いた人

小学校高学年の子どもたちにも読めるように、身近な科学のふしぎをやさしく整理しています。

記事では、ただ驚くだけで終わらず、「なぜそうなるのか」という仕組みまで伝えることを大切にしています。家庭や学校でも安心して読める科学サイトを目指しています。

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